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【PHP】シングルクォーテーションとダブルクォーテーションの使い分けガイド

PHPプログラミングを学ぶ上で、多くの初学者が疑問に思う点の一つに、文字列を定義する際のシングルクォーテーション(')とダブルクォーテーション(")の使い分けがあります。どちらを使用しても文字列を定義できますが、それぞれに明確な違いと適切な用途が存在します。

本記事では、この二つのクォーテーションの違いを基礎から解説し、どのように使い分けるべきかについて解説します!

目次

ダブル「”」とシングル「’」の基本的な違い

ダブルクォート(")は内部の変数をその値に展開しますが、シングルクォート(')は変数を文字としてそのまま扱います。

以下に簡単な例を示します。

<?php
$animal = '犬'; // 変数に「犬」という文字列を代入

// ダブルクォートの場合
echo "私のペットは $animal です。";
// 出力: 私のペットは 犬 です。 ← $animalが値「犬」に置き換えられました

// シングルクォートの場合
echo '私のペットは $animal です。';
// 出力: 私のペットは $animal です。 ← $animalという文字がそのまま出力されました
?>

この例から、ダブルクォートが変数 $animal の値を展開したのに対し、シングルクォートは $animal という文字列そのものを表示したことが分かります。

この基本的な挙動の違いを理解した上で、詳細を見ていきましょう。

基本的な違い:変数展開とエスケープシーケンス

シングルクォート(')とダブルクォート(")の主な違いは、**「変数展開」「エスケープシーケンスの解釈」**の有無にあります。

変数展開とは?

文字列リテラル内に記述された $ で始まる変数名をPHPが検出し、その変数の値で置き換える機能です。これにより、文字列連結よりも簡潔に記述できる場合があります。

<?php
$item = 'りんご';
$price = 150;
echo "この $item は $price 円です。";
// 出力結果: この りんご は 150 円です。
?>

エスケープシーケンスとは?

エスケープシーケンスとは、通常の文字入力では表現しにくい特殊な文字や、構文上特別な意味を持つ記号を、プログラム上で表現するための記法です。バックスラッシュ(\ または ¥)と特定の文字を組み合わせて使用します。

例えば、文字列内で改行を表現したい場合、\n というシーケンスを使用します。同様に、タブ文字を表現するには \t を使用します。

ダブルクォート内で一般的に使用されるエスケープシーケンスには、以下のようなものがあります。

  • \n : 改行 (New Line) – 出力時に改行されます。
  • \t : タブ (Tab) – 出力時に水平タブ(スペース数個分)が挿入されます。
  • \\ : バックスラッシュ自体\ 文字そのものを表します(\がエスケープの開始記号であるため)。
  • \$ : ドル記号 – 変数展開と区別し、$ 文字そのものを表します。
  • \" : ダブルクォーテーション自体 – ダブルクォートで囲まれた文字列内で " 文字そのものを表します。

PHP

<?php
echo "一行目。\n二行目。\t<-タブ。\nバックスラッシュ \\ ドル \$ ダブル \"";
// 出力結果:
// 一行目。
// 二行目。    <-タブ。
// バックスラッシュ \ ドル $ ダブル "
?>

シングルクォート(')内では、これらのシーケンスの大部分は特別な意味を持たず、リテラル文字列として扱われる点に注意が必要です。

シングルクォーテーション(’'):原則としてリテラル(そのまま)

シングルクォート(')で囲まれた文字列は、ほとんどの場合、記述された内容がそのまま文字列として扱われます。特別な処理はほとんど行われません。

<?php
$name = '山田';
// シングルクォート内では、$name や \n は特別な意味を持たない
echo 'こんにちは、$name さん。\nお元気ですか?';
// 出力結果: こんにちは、$name さん。\nお元気ですか?
?>

上記のように、変数名 $name や改行を意図する \n が、特別な解釈を受けずにそのまま出力されます。

ダブルクォーテーション("):変数展開とエスケープシーケンスの解釈

一方、ダブルクォート(")で囲まれた文字列では、以下の2つの主要な機能が有効になります。

  1. 変数展開: 文字列内の変数(例: $name)が、その変数が持つ値に置き換えられます。
  2. エスケープシーケンスの解釈: \n(改行)や \t(タブ)といった特殊な文字シーケンスが、対応する制御文字として解釈されます。
<?php
$name = '佐藤';
// ダブルクォート内では、$name は値に置き換えられ、\n は改行として解釈される
echo "こんにちは、$name さん。\nお元気ですか?";
// 出力結果:
// こんにちは、佐藤さん。
// お元気ですか?
?>

この例では、$name が値「佐藤」に置き換えられ、\n が実際の改行として機能していることが確認できます。

波括弧 {} の使用場面

ダブルクォート内で {$variable} のように変数を波括弧 {} で囲む記述を見ることがあります。これはどのような場合に必要なのでしょうか。

①変数名の境界を明示する場合

変数名の直後に、変数名の一部として解釈されうる文字(英数字やアンダースコア)を続けたい場合に {} が必須となります。これにより、変数の範囲をPHPパーサーに正確に伝えることができます。

<?php
$fruit = 'apple';

// $fruits という変数を探してしまうので、NG
echo "I have two $fruits.";

// {} で $fruit の範囲を明示し、's' を続ける。OK
echo "I have two {$fruit}s."; // 出力: I have two apples.
?>

②配列要素やオブジェクトプロパティの展開

配列の要素やオブジェクトのプロパティを文字列内で展開する際には、一般的に {} を使用することが推奨されます(必須の場合もあります)。

<?php
$user = ['name' => '田中', 'age' => 30];
$item = (object)['name' => 'ペン']; // オブジェクト

// 配列要素の展開
echo "ユーザー名: {$user['name']} さん、年齢: {$user['age']} 歳です。";
// 出力: ユーザー名: 田中 さん、年齢: 30 歳です。

// オブジェクトプロパティの展開
echo "商品名: {$item->name}";
// 出力: 商品名: ペン
?>

可読性向上のため

必須ではない場合でも、コードの意図を明確にするために、あえて単純な変数も {} で囲むことがあります。これにより、文字列内のどこで変数展開が行われているかが視覚的に分かりやすくなります。

結局どちらを使う?

基本はシングルクォート(')を推奨

変数展開やエスケープシーケンス(\n など)が不要な場合は、意図しない解釈を防ぎ、挙動が単純なシングルクォートを使用するのが基本です。特に配列のキーや固定のメッセージ文字列に適しています。

<?php
$options = [
    'mode' => 'debug',
    'log_path' => '/var/log/app.log'
];
?>

変数展開やエスケープシーケンスが必要な場合はダブルクォート(")を使用

文字列内に変数の値を埋め込んだり、改行 (\n) やタブ (\t) を含めたい場合にダブルクォートを使用します。ただし、複雑な連結になる場合は、. 演算子による文字列連結の方が可読性が高い場合もあります。

読みやすさを優先

シングルクォートとダブルクォートのパフォーマンス差は、ほとんどの状況で無視できる程度です。コードの意図が明確に伝わり、後でメンテナンスしやすい方を優先して選択しましょう。

波括弧 {} を適切に利用

ダブルクォート内で変数展開を行う際は、変数名の境界が曖昧になる場合や、配列・オブジェクトの要素を展開する場合には、 {} を使用して変数の範囲を明確にしましょう。

プロジェクト内での一貫性を保つ

個人開発、チーム開発を問わず、プロジェクト内でクォーテーションのスタイルに一貫性を持たせることで、コード全体の可読性が向上します。

【重要】HTMLへの出力時は別途エスケープ処理を

PHPで生成した文字列をHTMLとしてブラウザに出力する際は、セキュリティ上の理由から必ずエスケープ処理が必要です。これは、シングルクォート/ダブルクォートのどちらで文字列を定義したかに関わらず適用されます。htmlspecialchars() 関数や、WordPress環境であれば esc_html(), esc_attr() などの適切な関数を使用してください。

まとめ

シングルクォーテーションとダブルクォーテーションの主な違いと使い分けについて解説しました。

  • シングルクォート(': 原則としてリテラル。変数展開なし、エスケープシーケンスは限定的(\', \\ のみ)。
  • ダブルクォート(": 変数展開と多くのエスケープシーケンスを解釈。波括弧 {} の使用法がポイント。

これらの特性を理解し、状況に応じて適切に使い分けることで、より読みやすく、意図通りの動作をするPHPコードを記述できるようになります。

この記事が皆さんのお役に立てたら嬉しいです!🙌

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